まもなく2024年を迎えようとしている今、3PLは変革の真っ只中にあります。課題やトレンドから、それらに対応するソリューションに至るまで、役立つ情報をご紹介します。
物事が絶えず変化し、消費者の要求も進化するこの時代、ロジスティクスの領域はかつてないほど複雑で条件が厳しいものとなっています。この目まぐるしい変化の中で、サードパーティロジスティクス(3PL)プロバイダーは、企業のサプライチェーンを合理化し、運営上の課題の克服を後押しするなど、ますます重要な役割を果たすようになってきています。
2024年に向けて、来たるべき変化に備えるには、3PL業界の現状と今後の方向性をしっかりと理解することが鍵となります。ここからは、今後数年間の3PLプロバイダーの事業の在り方を形作ることになる業界トレンド、変革的技術、市場動向、消費者からの要求の変化について掘り下げていきます。
トップダウンの戦略的視点から現場レベルで得られる知見まで、この記事には3PL業者が必要とする情報が詰まっています。それでは、さっそく見ていきましょう。
3PL業界は現代のサプライチェーンにとって今や不可欠な存在であり、さまざまな分野の企業に対して、商品の円滑な移動を促し、付加価値の高いサービスを提供しています。2023年現在、この業界は重要な岐路に立たされており、長年の課題と新たな機会の両方に直面しています。
多くの問題、特に労働力不足と限られた倉庫用地の問題を解決するためには、長期的な戦略と市場環境の変化が必要となります。ここでは、2024年および今後数年間に起こると予想される事柄について説明します。
労働力不足は、2022年から続く重要な課題の1つです。最近の調査によると、回答した3PLプロバイダーの59%で人件費が営業経費全体の40%以上を占め、回答者の3分の1では25〜39%を占めています。結果として、人件費が利益率を大きく圧迫しています。
混乱が続く今の経済において、人材の確保、維持、訓練は、ロジスティクス業者の70%にとって深刻な問題となってきており、調査対象となった業者の間では、倉庫の容量不足に次ぐ懸念事項となっています。さらに、同調査では、回答者の79%が人件費の上昇を懸念していると回答しています。
Amazon社のような大企業が、最近倉庫従業員に対する初任給を時給19ドルに引き上げたことも、人件費上昇の一因となっています。労働人口の不足とそれに伴う全体的な賃金の上昇を鑑みても、3PLプロバイダーが必要な従業員を確保し、維持することは大変な苦労であることが分かります。
需要の急増に対応するため、多くの3PL企業が自動化を導入し、効率的な業務規模の拡大、エラーの低減、運営費用の削減を実現しています。
たとえば、AutoStoreシステムを採用している日本企業の郵船ロジスティクス株式会社は、自動倉庫システムを導入した結果、従業員の60%削減に成功しました。さらにAutoStoreシステムのような自動化ソリューションは、人件費の削減と同時に、3PL企業のGeodis社のようにパフォーマンスを10倍向上させることもできます。
eコマースの隆盛は、コロナ禍以降の世界的な景気回復に大きく貢献しました。しかし、あらゆるレベルのロジスティクス業者が利用可能な倉庫スペースを奪い合うため、不動産コストの上昇に拍車がかかっています。特にドイツ、英国、米国といった収益性の高い市場においては、空き倉庫の数が歴史的な少なさになっています。
すでに利益率が低迷しているプロバイダーにとって、より広い施設や設備の整った施設を選ぶという選択肢が少なくなり、既存のスペースをより効率的に利用することが、現在の業界全体の問題を克服する上で重要な要素となっています。現在、3PL部門の倉庫の約40%が90~99%の稼働率となっており、また100%以上の稼働率の3PL倉庫の数は20%にまで増加しています。これは、3PLにとって、増加する顧客の需要と在庫レベルに対応する上で大きな課題となります。
自動化は、倉庫内のスペース利用の最適化に役立ちます。自動化システムは、水平方向と垂直方向のスペースを効果的に活用したり、保管容量を最大化することで、新たに別の場所に移動する必要性をなくします。
たとえば、米国に拠点を置く3PLおよびeコマースフルフィルメント会社であるZeek Logistics社は、利用可能な倉庫スペースの減少に直面していました。AutoStoreソリューションを導入することで、同社は既存の施設を維持できただけでなく、AutoStoreシステムは以前のラック保管スペースの30~40%しか占有しなくなり、倉庫内の大きなスペースが解放されました。
オランダに拠点を置く3PL企業Active Ants社は、AutoStoreで自動化することで、スペース効率が劇的に向上し、保管容量が75%増加しました。さらに、モジュール設計により、ユーザーのニーズに合わせて高度にカスタマイズ・転用ができるため、倉庫スペースを増やすことなく、可能な限り効率的かつ迅速に拡張し、変更できます。
世界の市場が3PL業者で飽和状態になるにつれ、競争が激化し、業界全体の利益率を圧迫しています。さらに、人件費、不動産費、燃料費の高騰も追い打ちをかけています。
特筆すべきことに、労働コストは最近の数四半期で着実に上昇しており、これは利益率の面で業界の大きな課題となっています。さらに、不動産コストの上昇や倉庫スペースの制約と共に、燃料費の高騰が輸送業務に大きな影響を与えています。また、世界的な原油価格の変動は、ラストマイル輸送ソリューションを提供するロジスティクス業者の収益性に直接的な影響を与えています。
フルフィルメントコストが上昇する主な要因の1つは、オーダーフルフィルメント業務の複雑化です。消費者のニーズが変化するにつれて、カスタマイズされたソリューション、より迅速な配送時間、そしてオーダーの可視性の向上に対する需要が高まっています。
これらの需要を満たすには、3PLプロバイダーは、倉庫管理システム(WMS)、注文管理システム(OMS)などのテクノロジーシステムとともに、自動化に投資する必要があります。自動化テクノロジーは特に重要で、AutoStoreシステムや自動ピッキング、仕分け装置などのソリューションは、スピード、効率、および拡張性を高めます。
旧式のロジスティクスモデル向けに設計された従来の倉庫とは異なり、AutoStoreシステムを備えた施設は、迅速に処理スピードの向上を実現し、注文処理やフルフィルメントへの厳しい要求に対応できます。その結果、企業は設備やスタッフの追加に多額のコストをかけることなく、自在に保管量を増減しながら、顧客満足度を維持できます。
さらに、AutoStoreシステムは多様なサイズや構成の倉庫に適応できるため、既存のスペースをより有効に活用でき、高価な新規施設への投資の必要性を低減できます。最後に、AutoStoreのような倉庫自動化ソリューションの重要な特徴が、需要や注文活動の突然の急増に対応できることです。これにより、ユーザーはピーク時期を最大限に活用し、競合他社に先んじて利益を獲得できるようになります。
3PL企業のPrime Cargo社を例に挙げてみましょう。AutoStore倉庫自動化ソリューションを導入した後、Prime Cargo社の毎日の注文処理能力は、以前の手動倉庫と比較して2倍になりました。速度に関して言えば、ColliCare Logistics社は、IKEA社の顧客の80%が注文した商品を受け取るまでの時間を、平均3~7日からわずか2日に短縮することができました。
市場に参入する3PL業者の数が増加しており、競争が激化しています。これにより、差別化と専門化への注力が増しています。独自の価値提案を確立し、ニッチ市場を確保することを目指しており、自動ピッキング、梱包、カスタマイズ、在庫管理などのサービスの多様化が進んでいます。
さらに、競争の激化により、カスタマーエクスペリエンスと満足度への注目度が高まっています。顧客を確保し維持するために、3PLプロバイダーはテクノロジー、プロセスの改善、およびサプライチェーンの可視性に多額の投資を行っています。顧客中心主義の重視は、高度な追跡システムの開発、リアルタイムの更新、コミュニケーションチャネルの強化につながっています。
その目的は、顧客の特定のニーズや要求を満たす包括的なソリューションを提供することにあります。そして、最新の先端技術に投資しているロジスティクス業者に信頼を置く顧客が増加している中、自動化は顧客の期待に応え、同時に市場における3PLの競争力を高めることができます。
また、競争が激化すると、価格構造や利益率にしわ寄せが行きます。各業者は契約を奪い合うため価格競争に巻き込まれ、業界内では利幅は小さくなり、価格感応度が低くなります。このような競争の激化により、3PL企業はプロセスを最適化し、サービスの質を落とすことなく効率を高める方法を模索し、運営コストを削減することが不可欠となっています。
今、いくつかの重要なトレンドが2024年以降の3PL業界を形成しつつあり、市場力学の変化と顧客のニーズの進化によって変貌する風景が明らかになりつつあります。ここからは、それら4つの重要なトレンドを掘り下げ、業界へ及ぼす影響について解説します。
電子商取引部門は過去数年間で目覚ましい成長を遂げており、パンデミック中の消費者行動の変化によってさらに加速しています。たとえば、2023年時点でオンライン販売は小売購入の20.8%を占めており、この数字は2026年までに24%に増加すると予想されています。
ロジスティクス費用の上昇と注文量の増加に対応するため、3PLプロバイダーを利用してロジスティクス業務を代行してもらうeコマース企業が増えています。こうした業務の外注は、在庫管理の改善、顧客サービスの強化、納期厳守への対応力など、数多くのメリットを提供します。eコマース企業は、3PL業者と提携することで、その専門的なロジスティクス技術を活用しながら、自身は中核的な業務に集中できます。
その結果、eコマースの顧客からの需要が増加し、倉庫ロボットや自動化を導入する3PLプロバイダーが増えています。これらのテクノロジーにより、より短期間で大量の注文を処理できるようになります。
倉庫ロボットは、ピッキング、仕分け、梱包のプロセスを合理化し、エラーの可能性を減らし、オーダーフルフィルメントを迅速化します。自動化を活用することで、3PLプロバイダーは迅速かつ信頼性の高い顧客オーダーフルフィルメントを提供できます。
3PL業界全体で、自動化、人工知能、およびデータ分析が、業務の最適化、効率性の向上、そしてサプライチェーンの可視性の向上に活用されています。デジタルプラットフォーム、データ分析、およびクラウドベースのソリューションを活用することで、3PLプロバイダーは業務を最適化し、エンドカスタマーの変化する需要に対応できるようになります。
たとえば、McKinsey社の最近の調査によると、調査対象となった企業の67%が、サプライチェーン全体の可視性を高めるためにデジタルダッシュボードを導入しており、同様の措置を講じなかった組織に比べて混乱の発生が半分になっています。
倉庫自動化や管理システムを導入することの利点は、データの可視性を大幅に向上できることです。サプライチェーン全体の商品の移動に関するリアルタイムの情報にアクセスして分析できるため、意思決定が強化され、効率が向上し、関係者全員の連携が向上します。
在庫レベル、輸送状況、その他の重要な指標を正確かつタイムリーに可視化することにより、ロジスティクス業者は潜在的な問題に積極的に対処し、オペレーションを合理化し、最終的にすべての利害関係者に円滑で透明性の高い体験を提供できます。このようにデータの可視性を高めることで得られる具体的なメリットには、以下のようなものがあります。
近年、AIおよび自動化によりロジスティクス企業の運営方法が一変し、プロセスの合理化、効率性の向上、カスタマーエクスペリエンスの強化が進んでいます。これは業界で広く支持されている見解の1つです。実際、ある調査では3PLプロバイダーの84%が、AIと機械学習は業界全体に影響を与える可能性が最も高いテクノロジーの1つであると述べています。
倉庫自動化技術も、サードパーティロジスティクス業界の変革において重要な役割を果たしてきました。ロボットピッキングマシンや仕分けマシンなどの自動化システムにより、オーダーフルフィルメントがより迅速かつ正確になり、顧客満足度が向上しました。これらの技術が、作業員による時間のかかる反復作業を処理できるようになり、業務がより効率化され、エラーのリスクが軽減されます。
倉庫におけるAIと自動化技術の融合により、生産性の向上と人件費の削減ができます。より迅速で効率的なロジスティクス業務への要求が高まり続ける中、3PL業界におけるAIと倉庫自動化のさらなる進展が期待されます。
今日の3PL業界が直面している課題やトレンドは、あまりにも複雑で多種多様であるため、シンプルな解決策を示すことは困難です。そのような状況下で、自動化は、労働力問題、スペース管理、利益率の縮小、競争の激化といった懸念に対応できる、望ましいソリューションとして浮上してきています。
世界の3PL業界が進化を続ける中、倉庫の自動化は、スペースやリソースを最大限に活用するための最も信頼できるソリューションの1つです。高速かつ高密度で、拡張性と柔軟性に優れたAutoStoreシステムは、eコマースの隆盛や世界的な物流の変化への対応を目指すお客様の喫緊の課題や要件を踏まえて設計されています。
AutoStoreがお客様のニーズをどのように満たすことができるかについて詳しく知りたい場合は、今すぐ当社の業界専門家にお問い合わせください。