パンデミックによってサプライチェーンの混乱が生じた際、エレクトロニクスのディストリビューターであるTTI社は対策を必要としていました。同社はAutoStoreを導入し、高密度のGTP(グッズトゥパーソン)システムを利用することで、保管容量を増やし、フルフィルメントプロセスを効率化し、サービスを損なうことなく成長を続けることができました。
TTI社は、家電製品から自動車に至るまで、さまざまな状況で使用される受動部品、コネクター部品、電気機械部品、個々の電子部品の分野をリードする販売業者です。同社は2017年の設備改善プログラムの一環として、5つの倉庫をテキサスの1つの中央施設に統合しました。この施設は、当初の水平回転式システムに代わる自動化フルフィルメントシステムを導入するべく、十分なスペースが確保されていました。
TTI社は世界中で高い信頼を得ている販売業者であり、日付コード、ロットコード、メーカー認証など、特定の顧客要件に基づいて在庫を管理する、信頼性のあるソリューションを必要としていました。また、継続的な大量需要とビジネスの成長をサポートする技術も必要でした。
TTI社はさまざまなシステムを検討した結果、Swisslog社が提供するAutoStoreを採用しました。2022年に導入されたAutoStoreシステムは、TTI社が活発な物流事業を維持するために必要な保管密度、スピード、柔軟性、拡張性を備えています。
TTI社のNorth American DistributionのVice PresidentであるHobey Strawn氏は次のように述べています。「自動化技術の選択では多くの要因に影響を受けましたが、自動化自体を決断した理由は非常にシンプルでした。弊社では、すさまじいペースで成長する中で、顧客体験を維持する必要があったのです。」
TTI社の計画と改革により、感染症の流行時に対する備えは万全になりました。当時多くのメーカーが、備蓄製品についてジャストインタイム戦略からジャストインケース戦略に移行し、今後の混乱による影響を最小限に抑えていました。一方、あらゆる業界で電子部品の需要は伸び続け、設備に対する圧力に拍車がかかりました。
AutoStoreにより、TTI社は新たな製品ラインの追加を続けていても、約220,000のSKUを処理できるようになっています。また、このシステムにより、世界最大級の工業メーカーからの小口オーダーやフルパレットなどの大量のオーダーに対し、受注日当日に出荷する能力が強化されました。
Strawn氏は次のように述べています。「ニューヨークのお客様と同様に、ロサンゼルスのお客様にも効率よく出荷できるようにしたいと思います。
深夜に入るオーダーにも対応できる必要があります。特に昨今のサプライチェーン事情では、スピードが重要です。」
AutoStoreシステムは、アルミ製の枠組みでできた保管グリッドなどの5つのモジュールで構成されており、どのような倉庫レイアウトにも合うように構成できます。TTI社のシステムは、グリッドの中央にピックトンネルがあるように設計されています。大規模な施設でもロボットのパフォーマンスやスペース効率を最適化できるオプションです。
AutoStoreシステムの規模が小さく、ロボットがグリッドを移動する時間がそこまで問題にならない場合、ポートはグリッドの外周に配置されるのが一般的です。それに対し、TTI社のようにSKUが多く大容量のシステムでは、スピードとスペースの効率が最も重要です。
このトンネルはシステムの中間に位置し、グリッドの下を端から端まで貫通しています。このような戦略的な配置により、ロボットの移動距離が半分で済み、ビンの取り出しと受け渡しにかかる時間が大幅に短縮されます。
AutoStoreワークステーション(ポート)は保管エリアに直接組み込まれており、どのポートでも迅速なビンの受け渡しと100%のオーダー集約が可能です。このトンネルでは、ワークステーション用のスペースを増やすことで処理量を向上させ、作業員がインバウンドとアウトバウンドの在庫を処理できる場所が拡大します。TTI社のピッキングポートはトンネルの両側にあり、棚入れポートはグリッドの外周にあります。
Strawn氏は次のように述べています。「AutoStoreシステムの設計は、スペースを最大限に活用するのに必要な密度を備えていました。さらに、すべての作業員がシステム内のどの部分にもアクセスできます。これは大規模な複数ラインのオーダーに対応するうえで重要です。また、ピッキングステーションでオーダーを集約することも可能です。」
複数のSKUに対応するように、約135,000個の330mmビンをそれぞれ細かく分けることができるため、さらに柔軟にオーダーを集約できます。
Distribution OperationsのSenior DirectorであるAaron Hein氏は次のように述べています。「ビンを分類し、同じビンに複数の品番を入れることで、AutoStoreシステム内の密度をさらに高めることができます。」
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TTI社では系列会社内での実際の経験に基づき、AutoStoreシステムとSynQソフトウェアを統合するためSwisslog社を選択しました。このソフトウェアは、ロボットによるビンの取り出し、オーダーの割り当てと優先順位付け、分類、発行を最適に制御します。
過酷なスケジュールでしたが、Swisslog社とTTI社は提携し、SynQとTTI社の倉庫管理システム(WMS)の統合を成功させるなど、システムを予算内で予定どおりに導入することができました。
Strawn氏は次のように述べています。「SynQは、弊社史上初めて倉庫作業に使用されたサードパーティーのソフトウェアです。お客様の重要なデータと製品は連動してサプライチェーンを流れる必要があり、そのデータの整合性を維持するには、弊社システムとSynQをスムーズに統合する必要がありました。Swisslogによる導入が非常にうまくいったため、予定通りに生産オーダーを完了させることができました。」
Strawn氏は次のように続けました。「SynQのソフトウェアは直感的で使いやすいと、作業員からの評判も上々です。ピッキングの速度は、既存のG2P(Goods to Person)に比べすでに50%向上しており、今後もさらに改善する予定です。AutoStoreとSynQを使うことで、これまで以上に迅速かつ効率的に、サプライヤーから受領した製品を顧客に届けることができるようになりました。」
GTP技術に基づくAutoStoreは、製品を倉庫の作業員に渡します。その逆はありません。74,322㎡のTTI社の施設内で働く作業員にとって、人間工学に基づいた産業用ワークステーションがあることは非常に有用です。ピッキングや補充などのフルフィルメント作業がすべて自動化され、各ポート内で行われます。このためチームメンバーは、長い距離を歩いたり重いものを持ったりする負担から解放され、正確で効率的な処理に集中することができます。
Hein氏は次のように述べています。「5ポンド、10ポンド、20ポンドとさまざまな大きさの箱を扱う作業を1日6~7時間行いますが、今では持ち運ぶ必要はありません。」
さらに、SynQの直感的なタッチスクリーンインターフェースで技術の習得や操作も簡単です。作業員はTTI社の水平回転式フルフィルメントシステムに慣れていますが、これがAutoStoreに徐々に置き換わっていくことに関心が集まっています。
Hein氏は次のように述べています。「最近では、トレーニングを始めてAutoStoreに慣れてきた従業員がどんどん増えており、短期間ですでに効果を実感しています。」
「(従業員は)AutoStoreが置いてあるゾーンにやって来たり、そのゾーンへの配属を希望したりしています。AutoStoreシステムの推進に拍車がかかるので、良い傾向です。」
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TTI社では近々、新しい製品ラインに対応するため、既存のグリッドの隣にAutoStoreを拡張する予定です。同社は次の構築段階でも、保管とフルフィルメントに既存のグリッドを引き続き使用します。AutoStoreの拡張性と柔軟性に優れたモジュール式設計により、このような段階的な構築をダウンタイムなしで行うことができます。Strawn氏は次のように述べています。「壁を壊したり、別の倉庫を用意したりせずに業務を拡大できます。」
「AutoStoreを選んだ主な理由のひとつに、機能をほぼ停止させることなく、成長に合わせて拡張や増設が可能な点があります。」
設置タイプ:ブラウンフィールド
WMS:SynQ
ビン:135,000個
ポート:24台のピッキング用ConveyorPort、4台の棚入れ用ConveyorPort
ロボット:60台のR5
パートナー:Swisslog社
「AutoStoreを選んだ主な理由のひとつに、機能をほぼ停止させることなく、成長に合わせて拡張や増設が可能な点があります。」
「(従業員は)AutoStoreが置いてあるゾーンにやって来たり、そのゾーンへの配属を希望したりしています。AutoStoreシステムの推進に拍車がかかるので、良い傾向です。」
AutoStore™は様々な倉庫に対応可能です。