サービスの一貫性は顧客ロイヤルティに影響する重要な要素です。デジタル化を駆使した堅牢なフルフィルメントシステムによって、どのように倉庫の対応力と顧客ロイヤルティが高まるのか解説します。
極めて迅速な対応が求められるeコマース小売市場において、ブランドロイヤルティは弱まっています。英国と米国の成人の4分の1以上が、ブランドロイヤルティを一切持っていないと主張しています。[1]それよりも消費者は、配送スピード、コスト、顧客サービスを判断基準にして購入する傾向を強めています。当社の調査によると、消費者の85%が、配送が遅すぎる場合は他を探すと回答しています。
2023年現在、要求の厳しい顧客は、かつてないほど気軽に別のブランドで買い物をします。顧客維持は、小売企業が解決すべき重要な課題となっていますが、解決は可能です。AutoStoreの技術を活用した効率的なフルフィルメント運用は、企業がこのような問題を克服し、ブランドロイヤルティを維持するだけでなく、さらに強化するのにも役立ちます。
今後、顧客の行動がどのように変化していくかは不透明ですが、信頼性が顧客維持にとって常に最重要であることは間違いありません。顧客は「配送は常に迅速かつ正確で、便利です」という企業の主張に期待しています。そのため、サプライチェーンに混乱が起きた場合のリスクと影響は甚大です。
では、どうすればフルフィルメント業務のリスクを最小限に抑え、ブランドロイヤルティを強化できるでしょうか。
注文対応の遅れ、サイズ間違い、返品対応がされないことなどの事例は、すべて顧客を失うリスクにつながります。今日の市場では、顧客は即座に小売業者を乗り換えるかもしれません。
信頼性の高い堅牢な自動化技術とロボット技術を導入することにより、運用のリスクを軽減できます。昼夜を問わず、スムーズで正確かつ効率的な運用を実現し、週ごとのピーク時や季節による変化にも、混乱なく対応できます。
またスピーディな拡張も可能です。これによって、労力をかけずに、多くの顧客により良い体験と安心を提供してリピーターになってもらうことができます。その結果、リスク領域であったサプライチェーンが、競争に打ち勝つためのメリットに変わります。
当社の自動フルフィルメントソリューションを使用することで、スウェーデンのオンライン薬局、Apotea社などの企業は、注文をより短時間で処理し、24時間365日の業務を維持しています。CEOのPär Svärdson氏は、このシステムによって「顧客の期待を上回ることが容易になった」と語ります。Zeek Logistics社は、リスクを回避しながら即日配達を実現しています。Warehouse ManagerのJason Harber氏は、AutoStoreシステムの導入によって「倉庫での注文対応に必要な機械設備が大幅に減り、結果的にダウンタイムが少なくなりました」と述べています。さらにPUMA社は、99.9%の注文精度を達成しながら、ピーク時には2週間かかっていた配送を1日に短縮できました。
フルフィルメントで運用リスクを軽減する方法としては、データフルフィルメントに関するデータ(ロボットが生成するため、すでにデジタル化されたもの)を商取引や顧客のデータと組み合わせることで、分析や洞察を深めることができます。たとえばサイロ化したデータをつなげることにより、顧客のニーズや需要を予測したり、特定のシナリオ上で現在の運用にストレステストを行ったりするなどのケースが考えられます。さらに製造データと組み合わせることにより、サプライチェーンの全体的なリードタイムを短縮することも可能です。つまり、注文の急増やサプライチェーンの混乱、在庫の問題が発生したとしても、一歩先を行き、業務の継続と配送の信頼性を確保できます。他の小売企業がリスクにさらされている間に、信頼を獲得し、リピーターからの信用と高い評価を得ることができます。
口コミや評判は顧客ロイヤルティにとって最も重要ですが、評判は一夜にして簡単に台無しになってしまうものです。これを考慮すれば、環境意識の高い今日では、持続可能性に関する取り組みは好感度を維持するのに欠かせません。 顧客の87%は、自分が関心を寄せる活動を支援している企業から買いたいと考えており、70%は社会的責任を果たしているブランドでの購入を増やしたいと考えています。[2]
フルフィルメント技術は、環境に優しい素材を使用したり、廃棄物を最小限に抑えたり、二酸化炭素排出量を削減したりといった成果を見せる絶好の機会となるため、企業は環境意識の高い顧客のロイヤルティを得ることができます。ノルウェーの卸売企業Berggård Amundsen社は、AutoStoreのロボットを11台備え、1万7,000個のビンを扱う倉庫を、4月から9月までの間は太陽光発電のみで運営しています。
ESG違反に対する罰金や罰則は、今後数年で多大なものになると予想されるため、ESGを遵守する企業は、風評リスクだけでなく財務リスクも最小限に抑えることができます。[3]
顧客ロイヤルティを勝ち取るには数年かかりますが、失うのは一瞬です。フルフィルメントの技術革新を進めることにより、業務に強靭性を持たせ、信頼性をブランドの強みとして確立し、顧客との関係を強化する新たな機会が生まれます。
競争が熾烈な小売業界において顧客ロイヤルティを獲得することは、今後5年間におけるグローバルフルフィルメントの5大課題の1つとされています。詳細については、レポート全文をご覧ください。今後5年間におけるグローバルフルフィルメントの5つの課題
[1] https://internetretailing.net/more-than-a-quarter-of-adults-no-longer-feel-loyal-to-any-brand-study-24300/#:~:text=Brand%20loyalty%20is%20waning%2C%20a,on%20fulfilment%20and%20customer%20service
[2] https://www.linkedin.com/pulse/customer-demand-changes-2023-eric-sims-/
[3] https://aravo.com/blog/2023-risk-predictions-increased-fines-and-penalties-for-esg-non-compliance-will-bite-back/#:~:text=If%20a%20company's%20third%20party,%2C%20negative%20news%20coverage%2C%20etc.