ミュンヘンの新しいフルフィルメントセンターを自動化することで、ネットスーパーのKnuspr社は、ピッキング効率を3倍に向上させ、運営全般の生産性を2倍にしました。さらに、弊社の新しいピッキング単位の支払いモデルで設備投資額を抑えました。
Knuspr社について:Knuspr社はスタートアップのeコマース食料品ブランドで、チェコ共和国に拠点を置くRohlikグループに属する企業です。2年前ミュンヘンに最初のフルフィルメントセンターを開設して以来、急成長を遂げ、ミュンヘンにもう一つ、そしてフランクフルトにも新たにフルフィルメントセンターを開設しました。週6日、7:00~22:00の間は即日配送サービスを行っており、国際的な有名ブランド品や地元業者による新鮮な地産品など、12,000点を超える品目を取り揃えています。
2021年にミュンヘンでフルフィルメントセンターを開設して以来、Knuspr社の売上は急上昇しています。そこで同社は、効率性の向上と保管容量増加のため、倉庫自動化の可能性を模索し始めました。
しかし、どんなプロジェクトも、制約の中で柔軟性をもって取り組むことが求められます。ドイツ市場のスタートアップである段階で、将来の需要まで対応する多額の設備投資をするつもりはありませんでした。また、この地域で唯一のフルフィルメントセンターであるため、プロジェクト中も既存の業務は続ける必要がありました。加えて、土地の大きさは決まっているため床面積を増やすことはできず、追加の設置面積なしで容量を増やす必要がありました。つまり、密度が鍵となったのです。
そしてもう1つ重要だったのが、スピードです。
Knuspr社は、顧客に対し注文から3時間以内のお届けを約束していることから、多岐にわたる商品を保管できて、しかも超高速でピッキングできる機能を備えたシステムを求めていました。
Knuspr社では、ピッキング、保管、在庫の補充など、最も時間がかかっている倉庫作業の検証を開始しました。この検証により、倉庫の自動化が最も大きな効果を発揮するプロセスが特定されました。RohlikグループのChief Automation OfficerであるAlešMalucha氏は、この検証が目標達成のための「適切なテクノロジーの選択」に非常に役立ったと述べています。実際に、同社の業務に適していそうで、入手可能な倉庫自動化技術をすべて検証しました。ピッキングの高速化が最優先事項であったことから、ピッキングプロセスの生産性を上げて高い精度を確保するには自動倉庫管理システム(AS/RS)が最適であると判断しました。
シャトルシステム(他社製品)と比べ、AutoStoreシステムは圧倒的に優れていました。シャトルシステムは効率的なプロセスの実行に便利ですが、柔軟性と拡張性が低く、同じ保管容量を確保するには長い通路とかなり広い床面積が必要になります。AutoStoreシステムの革新的なキューブ型設計は、床面積を拡大せずに、既存の敷地で保管容量を大幅に増やすことができます。上下左右、あらゆる方向の空間を活用することで、かつてない新たな保管スペースが生まれます。
最終的にAutoStoreシステムが選ばれたのは、目先の業務ニーズと長期的な戦略ニーズのどちらの要件も満たしていたためです。導入メリットについてMalucha氏は次のように説明しています。「まず第一にお客様の購入品がわずか数時間でお届けできるようになり、供給の安定性が増しています。次に拡張性で、スペースの増強で保管容量を増やせるだけでなく、フルフィルメントセンターを都市部に置いたことで品揃えも増やしやすくなりました。」
Knuspr社は類似の導入事例をチェックした後、AutoStoreの認定パートナーであるElement Logic社をプロジェクトの統合パートナーに選びました。Element Logic社のStrategic Business DevelopmentのDirectorであるJoachim Kieninger氏は、プロジェクトチームと強固な関係を構築することがとても重要だったと振り返っています。「Aleš氏と彼のチームは、AutoStoreをできるだけ有効活用したいと考え、最初の設計段階から少しずつAutoStoreの技術とその機能性を学び、また当社でもKnuspr社が描いていたビジョンを次第に理解していきました。」
プロジェクトチームはAutoStoreのシミュレーションソフトウェアを使用し、さまざまなシナリオを実行して計画を練り直すことができました。床面積は変わらないので、保管密度を大幅に拡大する必要がありました。Element Logic社からは、「グリッド上でロボットが稼働する非常に高密度の動的なシステム」の特長を備えていると説明されました。
AutoStoreシステムは相互運用性が高く、ERPなどのプラットフォームだけでなく、ほぼすべての倉庫管理ソフトウェア(WMS)と統合できるので、Knuspr社では既存のWMSを引き続き使用できました。この事例では、Element Logic社はWMSにソフトウェアモジュールを追加するだけで、従来の手作業に匹敵する追加の作業を、自動化されたプロセスで実行できるようになりました。
既存の手作業の業務を続けながら設置する必要があったことが、この導入における最も難しい点でした。そのため、設置は2段階に分けて計画されました。
第1段階ではフロアを2つのエリアに分け、一方を片付けて新しいシステムを設置し、もう一方では作業が引き続き行われました。第2段階ではエリアを入れ替えてAutoStoreの設置準備を行いました。このスケジュールでは間違いが許されませんでしたが、お客様とインテグレーターとの強い信頼関係によって設置プロセスをスムーズに進めることができました。「設置までにお互いをよく理解していたことがかなり功を奏しました。」プロジェクトの総工期は8か月でしたが、設置はわずか3か月で完了しました。
この拠点では現在、1日あたり3,000件のオーダーを処理しています。フルフィルメントプロセスは基本的に以前と同じですが、AutoStoreシステムに組み込まれ、主要な作業がスピードアップしています。そのため、倉庫全体のパフォーマンスと効率が大幅に向上しています。
メリットはプロセスが改善されたことだけではありません。手作業が大幅に削減されたため、従業員の満足度も上がっています。作業員が商品のところへ行くのではなく、商品が作業員のところに来るのです。グリッドの中では作業員が商品を扱う必要はありません。ピッキング、補充、補正などはすべて自動化されています。つまり、作業員は商品の品質維持にしっかり集中できるのです。
Autostoreのプロセスは直感的に理解でき習得しやすいため、トレーニングの効率も上がっています。新人スタッフは集中トレーニングを1時間受け、丸1日作業を行えば、指示を受けなくてもフロアで働けるようになります。
このようにして、AutoStoreシステムを使用することで、お客様に自信を持って3時間以内に商品をお届けできています。「技術サポートのおかげで、システムは常時稼働を続け、さらにスピーディな配送を行い、事前のピッキングで午後のピーク時にも対応できます。」
Knuspr社ではこの立ち上げの成功を受け、2023年後半に新しいフルフィルメントセンターの開設を予定しており、現在の拠点の2倍(1日あたり6,000件のオーダー処理件数)の処理ができるように計画しています。AutoStoreシステムで特に優れているのが、導入先のペースに合わせて柔軟に拡張できる点です。モジュール式設計のため、作業を中断せず、各拠点で必要なときに容量を追加できます。Knuspr社は2023年後半には、ミュンヘンの拠点にチルド保管用のAutoStoreシステムの追加を予定しています。
設置タイプ:既存サイト
ライセンス:RaaS
市場投入までの期間:8か月
設置期間:3か月
WMS:eManager
SKU:12,000以上
パートナー:Element Logic社
AutoStore™は様々な倉庫に対応可能です。