プラハの新しいフルフィルメントセンターに倉庫自動化システムを導入したチェコのネットスーパー、Rohlik社の事例をご紹介します。
会社情報:Rohlik社はチェコ共和国を拠点として、ヨーロッパの複数の国で事業を展開するネットスーパーです。各主要都市にローカルフィルメントセンターを置き、その都市と周辺地域にサービスを提供しています。ウェブやモバイルアプリからすばやく簡単に注文して、地元の農産物を含むあらゆる種類の食料品を即日配送や即時配送で受け取ることができます。同社は増え続ける需要に合わせて規模を拡大し続けており、2022年4月までの12か月間で前年比成長率53%増を記録しています。2023年も新たに複数の都市に進出し、フルフィルメントセンターを建設する予定です。
Rohlik社はプラハに2つのフルフィルメントセンターを保有していましたが、市場での勢力拡大と既存顧客からの需要増に対応するために、同地区で3つ目となるセンターの建設を検討していました。ただし、新しい拠点に既存と同じ設備を設置するだけでは顧客のニーズや成長目標に対応しきれないことを認識していました。
Rohlik社のChief Automation Officer、Aleš Malucha氏は、顧客が求めているのは単なるオンラインストアではなく、「包括的なエンドツーエンドのソリューション」であると説明しています。このプロジェクトでは、カスタマーエクスペリエンスを向上させるために、大量の注文品をほんの数時間で届けるスピードだけでなく、高品質で正確な配送を一貫して行うことが求められました。つまり、在庫の補充を万全にしつつ、正確に商品をピッキングし、問題なく配送する必要がありました。顧客が欲しい商品をいつでも注文でき、必要なときに受け取れるようにするためにも、「高速なピッキングプロセスを実現することが最重要事項でした」とMalucha氏は語っています。このように期待されていた成果を達成した要因の1つとして、インテグレーターであるSwisslog社による設計とソフトウェアが挙げられます。Swisslog社のSynQソフトウェアは、ネットスーパー事業者のニーズに合わせてカスタマイズされており、SynQユーザーダイアログは人間工学に基づいた極めて正確なピッキングプロセスを促進するものとなっています。
これ以外にも、幅広い保管条件や配送条件が最適な自動化システムを構築するための要素として挙げられます。多種多様な商品や生鮮食品を扱うということは、すべての在庫を同じ方法では保管できないということを意味しました。特別な冷蔵倉庫が必要な商品も数多く存在するので、Rohlik社は当初から常温保存品用の設備と冷蔵保存品用の設備を分ける形で検討していたと、Malucha氏は説明しています。
事業拡大を無理なく進めるため、今回のプロジェクトではバランスを考慮する必要がありました。Rohlik社は市場投入までの時間を短縮すると同時に、将来的に容易に拡張できる柔軟なシステムを実装する必要があったのです。
そのため、Rohlik社は統合パートナーであるSwisslog社と協力しました。AutoStoreの公式パートナーでもあるSwisslog社は、数多くの事例で、顧客の要件に基づき、AutoStoreのような自動倉庫システム(AS/RS)を他の倉庫自動化技術と並行して導入する方法について助言してきました。
「Swisslog社との協力は、私たちのニーズを調査し、必要な保管容量を計算する段階から始まりました」と、Malucha氏は言及しています。「AutoStoreが本当に優れているのは、異なる構成でプロセスがどのように実行されるか、さまざまなシナリオをシミュレーションソフトウェアで実行できることです。このプロセスにより、プロジェクトでは保管容量と効率を最大化して、ネットスーパー環境に求められる処理ペースを達成することが容易になりました。
総括すると、Swisslog社のSynQソフトウェアを採用したAutoStoreが最適なソリューションである理由として、次の2つが挙げられます。1つは利用可能なスペースに対するピッキング速度、もう1つは冷蔵倉庫にも同じ機能を提供できるということです。Swisslog社のElke Pistono氏は次のように説明しています。「特殊な冷却クラッド材を採用することにしました。冷蔵セクションと常温セクション両方のAutoStoreがメザニンラック上に構築され、利用可能な空間を最適化しています。その結果、ポートをメザニンラックの下に設置して、ベルトコンベヤーをポートに直接接続するという構成を実現しています。」
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プロジェクトは、最初の計画段階から最終的な稼働開始日までわずか9か月で完了しました。最初の6か月は、適切な機器を備えた倉庫の計画・準備と、自動化技術の構築に費やされました。
Swisslog社による設置はわずか3か月で完了し、「とても短い期間で、『本稼働』に移行できました」とMalucha氏は補足しています。このスピードを可能にしたのは、軽量アルミニウム構造と、接続が容易なコネクターというAutoStoreグリッドの特長です。これにより、Rohlik社のプラハ拠点用のレイアウトに合わせてシステムを簡単に組み込むことができました。
Rohlik社への注文は生鮮品と冷蔵食品がほぼ均等な割合です。冷蔵セクションと常温セクションの両方にAutoStoreシステムを設置し、ビンに収まらないサイズの特殊商品は手動でピッキングすることで、配送に向けて注文品全体をまとめやすくなりました。
この拠点は、Rohlik社の手動フルフィルメントセンターと比較して、総合的な生産性が2倍になりました。さらに、AS/RSの導入により、ピッキング速度が3倍に向上しています。Malucha氏が述べたように、全体的なプロセスは「ピッキングプロセスによって促進された」ことになります。
Rohlik社は、注文処理プロセス全般を支え、顧客のカスタマーエクスペリエンスを向上させるのは自動化技術であると確信しています。事実、導入からわずか数か月後には、標準配送で3時間以内の配送を保証しており、全注文のうち10%は注文から60分以内に配送されています。「この倉庫で実証されているように、従来よりも迅速に商品をお客様にお届けできることが、私たちの現在の強みです。」と、Malucha氏は語っています。
円滑な導入により、チームは全体の処理フローを心配することなく、立ち上げ直後から個々のプロセスに意識を切り替えることができました。立ち上げ後は特に「構成の最適化」を注視し、ピーク期間の効率性や即時配送サービスといった個々のプロセスに取り組んだのです。
そして、収益だけではなく、作業性も大きく改善しました。商品が従業員のもとへ流れてくるので、従業員の歩く距離が減りました。また、多くの繰り返し作業が自動化されたので、従業員たちは作業の質を高めることに専念できるようになりました。
AutoStoreのシステムにSwisslog社のSynQ倉庫管理システム(WMS)を統合することで、ピッキング工程全体が信じられないほど簡単で直感的なものになります。商品が指定されたポートのピッキング担当者のもとに到着すると、梱包する商品への指示がモニターに表示され、担当者はそれに従って梱包していきます。フィンガー式バーコードスキャナーにより、担当者は簡単に詳細を点検・確認し、プロセスの流れを維持できます。倉庫自動化は効率性を高めただけでなく、運営全体としての「品質の向上」を実現しました。良好な状態の商品が、これまで以上に速く、問題なく配達された結果、お客様の満足度も高くなりました。
プラハの拠点では、出荷セクションの自動化を含め、既存の自動化プロセスの最適化を続けていく予定です。さらに、他の拠点への拡大も視野に入っています。Rohlik社は今回の事例で、この自動化技術が柔軟性に優れていて簡単に導入できることを学びました。「ロボットのような特定のコンポーネントは、各都市で規模を拡大・増強していく段階でも活用できます」と、Malucha氏は言及しています。「取扱数量に合わせて必要な規模でのみ構築」できるので、将来的にも費用対効果に優れた導入が可能であることに加えて、拠点運営が国際的に拡大していく中で、「複数のプロジェクトを同時進行できる」ことも明らかになりました。
「この倉庫で実証されているように、従来よりも迅速に商品をお客様にお届けできることが、私たちの強みです。」
AutoStore™は様々な倉庫に対応可能です。