製品が安全であると保証することは、倫理的義務であるだけでなく、ほとんどの地域で法的要件でもあります。この記事では、AutoStoreが機械的、電気的、EMC、化学的安全試験をどのように実施しているか、また、世界の主要地域の試験ガイドラインの違いについて詳しく説明します。
米国では、工業施設や製造施設で年間約4万件の火災が発生し、18人が死亡、279人が負傷、10億ドルの物的損害が発生しています。この統計だけを見ても、製品安全試験の重要性がわかるかと思います。なぜ重要なのか、基本的な理由は次の通りです。
製品安全試験の主な目的は、消費者が使用する製品の安全性を確保することです。潜在的な安全上の問題を特定して対処することにより、製品使用者の怪我や被害の防止に役立ちます。
多くの国で、製造業者は安全基準や規制を遵守する法的義務があります。安全試験を実施することにより、製造業者は製品がこれらの要件を満たしていることを確認し、法的責任を回避できます。これは、AutoStoreのような企業が顧客に機器を出荷する際に、ボトルネックや遅延を防ぐことにもつながります。通関作業では、書類の確認で問題がないと判断できるため、時間と労力が大幅に節約できます。さらに、システムを設置する際、すべての認証とテストレポートが揃っているため、試運転と始動がスムーズになります。
製品が安全でないことが判明したり、消費者に危害が及んだりすると、メーカーの評判やブランドイメージが損なわれます。製品安全試験は、このような事故を未然に防ぎ、安全性と品質に関するメーカーの姿勢を示すのに役立ちます。
製品安全試験によって製品開発プロセスの早い段階で安全性の問題を特定することで、高額な製品リコールや訴訟和解を未然に防ぎます。
製品の安全性、信頼性、品質を確保することにより、顧客との信頼関係を構築し、ブランドへの満足度と好感度の向上につなげることができます。
高額で時間のかかる検査をすべて行うメリットは、他にもあります。広範な試験を実施することにより、製品が規制要件だけでなく最高の安全基準を満たしていることがわかります。ユーザーは事故に遭う心配もなく日々の仕事を終えて家族のもとへ帰れますし、私たち自身も安心して過ごせます。
AutoStoreは、包括的な試験を実施して倉庫自動化システムの安全性と信頼性を確保しています。試験の主要項目をいくつか紹介します。
機械が人を挟んだり、圧迫したり、押しつぶしたりして怪我をさせないことを確認するための全体的な試験です。通常は、機械の安全基準や規制を遵守するために、製品を試験し、観察して、潜在的な「危険ゾーン」にオペレーターが立ち入ることができないようになっていること、ポート緊急停止ボタン、ガード、安全ハッチなどのすべての安全機能が適切に動作することを確認します。
電気的な危険とは、感電、火災、予期せぬ作動などです。電気的な安全性を判断するため、製品は通常の動作条件、単一故障モード、オペレーターの誤使用などの条件下でテストします。また、さまざまな部品の温度を監視して、火災の原因となる過剰な熱が発生しないことを確認するほか、プラスチック材料への可燃性試験により、延焼の原因とならないことを確認します。
電磁両立性(EMC)とは、電子機器、装置、システムが互いに干渉することなく、また外部からの電磁妨害の影響を受けることなく動作する能力のことです。電子機器やシステムは、通常の動作の一部として電磁信号を発生するため、EMCは重要です。これらの信号は、意図せず他の機器に干渉したり、外部からの干渉を受けたりしやすくなり、誤動作、データ破損、通信エラー、安全上の危険につながります。
当社が試験に使用する電磁両立性試験室は無響室とも呼ばれ、外部からの電磁信号を遮断し、試験室内での電磁波の反射を最小限に抑えるために特別に設計された筐体です。電磁両立性試験室の主な目的は、電子機器、装置、システムに対して電磁放射とイミュニティを正確に測定および評価できる制御された空間を作り出すことです。遮蔽された環境は、外部からの電磁干渉が試験プロセスに影響を及ぼすのを防ぐため、被試験デバイスの正確な測定と特性評価が可能です。すべての製品は、試験室内で以下の3項目についての診断を受けます。
危険化学物質は人命や環境に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、重要な分野です。AutoStoreのすべての部品は、さまざまな危険物規制に準拠するために研究されています。科学的なデータシートの信頼性に確信が持てない場合は、当社で材料をテストし、禁止された化学物質が含まれていないことを確認します。
安全試験は単純に見えるかもしれませんが、そうとも言えません。AutoStoreが販売されている国や地域によって管轄する規制機関が異なるため、法的義務は厳しいものからほとんど存在しないものまで、大きく異なります。第三者認証が必要な国もあれば、製品安全性の自己宣言が認められる国もあります。ある国ではEMC試験を特定の場所の試験所で行う必要がありますが、外国で試験を実施できる国もあります。
ヨーロッパ、北米、南米、アジア、オーストラリア地域の49カ国以上で事業を展開しているAutoStoreのような製造業者は、各市場特有のガイドラインや要件を熟知している必要があります。
米国では、消費者製品安全委員会(CPSC)が製品試験ガイドラインの制定を管轄しています。CPSCはさまざまな消費者製品の安全基準を設定し、製造業者は、製品を市場に出す前にこれらの基準に準拠していることを確認するための試験を行うことが義務付けられています。
欧州では、欧州連合(EU)が施行する一般製品安全指令(GPSD)が、消費者製品の安全性を確保する上で大きな役割を果たしています。GPSDはリスク評価や製品試験のガイドラインを定めるもので、製品を市場に出す前にその安全性を確保することを製造業者に義務付けています。さらにEUは、電子・電気機器における特定有害物質の使用を制限する特定有害物質使用制限(RoHS)指令など、製品固有の規制も設けています。EU 内の指令のうちAutoStore製品に関する主なものは、機械の安全性に関する要件を定めた機械指令 です。
APAC地域では、製品の安全性は国によって大きく異なる場合があります。たとえば中国の製品安全監督を担当する主な規制機関は、国家市場監督管理総局(SAMR)です。中国の製品安全に関する主要な法律製品品質法は、製品の品質と安全性に関する基本的な法的枠組みを定めています。 特定の製品、特にリスクの高い製品は、中国で販売する前に認定試験所による強制製品認証(CCC)が必要となります。CCCマークは、関連する安全基準に適合していることを示す認証マークとして広く知られています。
台湾では、標準検験局(BSMI)が製品安全に責任を負う主要な規制機関です。同局は、製品安全、規格、適合性評価に関する規制を策定・施行するだけでなく、試験を実施したり、適合性を確認するための市場監視を定期的に実施したりしています。
どのような法律であっても、AutoStoreは妥協せず、それ以上を追求します。たとえ市場参入に時間やコストがかかったとしても、安全要件を満たし、それを上回るために必要なことを実行します。
AutoStoreは、倉庫自動化システムをさまざまな業界のあらゆる実環境に導入し、成功を収めています。このシステムは、業務効率、在庫管理、オーダーフルフィルメントを大幅に改善し続けており、安全上の問題はまったく起きていません。
詳細なケーススタディや、お客様の業界や業務要件に合った具体的な参考資料をご希望の場合は、当社に直接お問い合わせください。関連情報を提供し、同様の環境でシステムを導入したお客様をご紹介いたします。また、当社の電子書籍「Testing for the Future」のほか、Underwriters Laboratory Inc.(UL)と米国のプロの消防隊チームとの共同制作による消火手順の解説動画もぜひご覧ください。
「広範な試験を実施することにより、製品が規制要件だけでなく最高の安全基準を満たしていることがわかります。ユーザーは事故に遭う心配もなく日々の仕事を終えて家族のもとへ帰れますし、私たち自身も安心して過ごせます。」