クリック&コレクトの利用者は、トレンドに敏感なミレニアル世代だけではありません。年配層でも、パンデミックの間にセルフサービスのショッピングに慣れ、今ではそれが購入ルーティンとして定着しているため、急速に人気が高まっています。まだクリック&コレクトを導入していない企業は、このトレンドに追いつく必要があるでしょう。そして、このハイブリッド型の購買習慣が広まっている理由を理解し、優れたクリック&コレクト戦略を構築して、持続可能なシステムにすることが最も重要です。
クリック&コレクト(BOPISまたはBOPUSとも呼ばれる)は、オンラインで購入して店舗で受け取るという意味で、その売上高は2027年までに7,031億8,000万ドルに達すると予想されています。このトレンドに乗って新しい設備や不動産に投資したり、クリック&コレクトのフルフィルメント事業を新たに立ち上げることをお考えの方は、ここ数年でなぜこのトレンドがこれほど大きくなったのかを考えてみる必要があります。
まず、時間の節約になります。Barilliance社の2018年のレポートによると、クリック&コレクトを利用している理由として、アンケートに答えた人の88%がスピードを挙げています。Forbes誌は当時、「顧客がオンラインで注文し、店舗で受け取ることができる食料品販売サービスのおかげで」マイクロショッピングトリップ(5分未満の買い物)が増加していると書いています。2017年8月にAmazon社がWhole Foodsチェーンを買収した後、マイクロショッピングトリップはWhole Foodsの店舗で8.7%増加し、専用の受け取り場所を備えた店舗では11%増加しました。
2つ目の理由として、クリック&コレクトは送料の節約になります。前出のBarilliance社のレポートでは、クリック&コレクトを利用する理由として「送料の節約」は2番目に多い回答(76%)でした。
eコマースの拡大もあって、業界大手各社がこぞってクリック&コレクトに乗り出しています。すでにこの方式が採用されている事例をいくつかご紹介します。
クリック&コレクトは、買い物客や大手企業にメリットがあるだけではなく、実店舗を持つあらゆるビジネスにメリットがあります。大手クラウドベースソフトウェアイノベーターであるCybertill社の調査により、買い物客の65%が、ネット注文した品を受け取る際に、店頭で追加購入をしていることが分かりました。
ネットショッピングの大きな課題としてカート放棄がありますが、クリック&コレクトはこの問題も解決します。Barilliance社によると、買い物客が購入前にカートを放棄するのは、想定外の配送料や速達サービスがないこと、不利な返品条件などが原因であり、これらはすべてクリック&コレクトで簡単に解決できます。
クリック&コレクトのメリットは、金額や増加率など、数字に直接表れることだけではありません。購買習慣のオムニチャネル化が進む中で、カスタマーエクスペリエンスを向上するのに不可欠な要素になっています。クリック&コレクトにより、顧客がより自由に、より多くの選択肢から商品を選ぶことができるようになり、商品を受け取るまでに感じる不満を少なくできるからです。Forbes誌は、「数字よりも重要なこと」として、「クリック&コレクト利用者の89%が利便性を評価し、顧客満足度が上がっている」と書いています。
小規模な小売チェーンでクリック&コレクトを導入するにあたっては、小規模店舗特有の課題があります。クリック&コレクトには、顧客にわかりやすく、アクセスしやすい専用の受け取り場所が必要なため、店舗でのスペースが問題となります。
クリック&コレクトは、顧客が受け取りに来るまで注文品を保管しておく専用エリアが必要になります。また、店舗スタッフが注文品を梱包し管理するため、店頭でのショッピングよりも労働力が必要になります。
店舗にクリック&コレクトを導入するには、以下が必要です。
クリック&コレクトを成功させるには、商品の受け取りを迅速かつ便利に行うために特別に設計されたインフラが必要になるでしょう。AutoStoreでは、この購買習慣を念頭に置いたPickUpPort™ワークステーションを導入しました。
ネットで商品を注文した顧客は、店舗またはフルフィルメントセンターに足を運び、PickUpPortキオスクに向かいます。キオスクの裏側では、AutoStoreロボットが注文品を保管グリッドから取り出し、PickUpPortまで運びます。商品が運ばれたら、顧客自身が引き出しを開けて商品を取り出します。この方式は、オムニチャネルでの円滑な購買体験を実現するだけでなく、顧客を実店舗に誘導することで、来店者数と売上を増加させるという利点もあります。さらに、商品をトラックで配送するよりも、持続可能で炭素排出量が少ない手段になるため、環境意識の高い消費者にアピールすることもできます。
ここまで、クリック&コレクトの物理的な課題について述べてきましたが、同様にソフト面でも課題があります。デジタルユーザーインターフェイスはカスタマーエクスペリエンスに大きな影響を与えるので、システムの適切な設計や統合が重要となるのです。店舗のブランドを忠実に反映し、シームレスで直感的なカスタマーエクスペリエンスを生み出すインターフェイスが必要です。データインテリジェンスを活用したパーソナライゼーションを通じて、顧客ひとりひとりに合わせた魅力あるサービスを提供することも必要でしょう。さらに、在庫と注文状況をリアルタイムで追跡・可視化することで店舗運営を効率化する、洗練されたソフトウェアが必要となります。
カスタマイズされたデジタルユーザーインターフェイスの開発には、コストと時間がかかるものです。しかし、店舗のブランド方針に合わせて簡単に統合・カスタマイズできる標準化されたSaaS(サービスとしてのソフトウェア)製品を活用すれば、導入までの時間を短縮し、全体的なROIを大幅に改善できます。AutoStore QubIt™フルフィルメントプラットフォームは、まさにこれを実現するソフトウェアです。クリック&コレクトの導入を成功させるために必要なエンドツーエンドのサポートとともに、お客様に合わせて構成可能なソリューションを提供します。
過去5年間の消費者データを振り返ると、クリック&コレクトがミレニアル世代の一時的な流行にとどまらないことは明らかで、あらゆる年齢層のショッピング形態として定着しつつあります。そのため、大手小売企業では、クリック&コレクトの新しいテクノロジーとトレーニングに多額の投資を行っています。
競争力を維持するためには、まず消費者の購買習慣についてあらゆる調査・分析を行い、なぜ多くの顧客が、店頭での購入や自宅配送よりも、このセルフサービス方式を好むのかを理解する必要があります。
そこから、クリック&コレクトを導入するために必要なスペースやプロセスを把握した上で、店舗レイアウトの大幅な変更、ロッカーやキオスクの設置、スタッフの再教育などが必要になるかもしれません。
そして何よりも、可能な限りパーソナライズされていて不満が少なく、利便性が高いサービスを提供して、カスタマーエクスペリエンスを向上する必要があります。今日のビジネス環境では、クリック&コレクト向けに特別に構築された新しい機器とソフトウェアへの投資が不可欠です。